2019/11/05 コラム

【復活ロッキー】シティ派になれなかった、かつてのダイハツ ロッキー



東京モーターショー2019のダイハツブースに突如出現、2019年11月5日発表されたコンパクトSUVは、オジサン世代にとっては懐かしい「ロッキー」であり、「ビーゴ」ではなかった。ちなみに前身のロッキーは1990年に発売された同社のオフロードモデルで、雄大なロッキー山脈をイメージした車名であって、スタローンの「ロッキー」ではない。当時は兄貴分として「ラガー」もラインアップされていたが、空前のラグビーブームにあやかってこちらも復活させてはどうでしょう?
かつてのロッキーは遊び心のあるシティ派オフローダーで、フロントのサンルーフとリヤのレジントップを取り外せばオープンエアモータリングが楽しめるというカジュアルさをアピール。さらにオンロードでの快適性も考慮されていて、ラガーの4輪リジッドサスに対して、ロッキーはフロントにダブルウイッシュボーンサスが与えられていた。エンジンも当時は静粛性に難点のあったラガーのディーゼルターボに対して、アプローズ用の1.6Lガソリンエンジンを縦置きに搭載。デビュー当初はパートタイム4WDとフルタイム4WDが設定されていたが、マイナーチェンジでフルタイム4WDを廃止。シティ派なのに逆じゃんといまさらツッコミたくもなるが、当時大人気だったエスクードに押されていて、販売面では大きく水を開けられていた。シティ派にはなりきれなかったのである。その後のダイハツ製コンパクトSUVはテリオス、ビーゴと続き、見た目とは裏腹の本格クロカンとしてラインアップされ、4WDモデルは悪路や積雪路では頼りになる存在だったけれど、どこか中途半端な感は否めなかった。一部には熱心なファンがいても人気を得るまでには至らなかった。そんな経緯もあったけれど、予告もなく突如として現れた新型「ロッキー」に賭けるダイハツの意気込みは相当なものだと思う。全長4m以下のコンパクトサイズはやはり扱いやすいし、モノコックボディで車重も1トンを切る(FF車)軽さだ。搭載されるエンジンも経済性と走りをしっかりと考慮した1L3気筒ターボで、14.3kgmの最大トルクを2400~4000rpmで発揮するというから扱いやすく、軽快な走りが得られるのではなかろうか。パッケージングも悪くない。ラゲッジルームはボードを活用して高さを2段階に変化させられ、ボードを取り払ってしまえば500L以上の容量も得られる。キャビンはさすがに広くはないが、後席にも大人が座ることが出来、ニールームやヘッドクリアランスにもゆったりとはいかないけれど余裕は残されている。座面はちょっと小さめだが、後席は2段階のリクライニング機構が備わっている。トヨタからも兄弟モデルとして「ライズ」がラインアップされるが、SUV人気の追い風を受けて注目を受けることは間違いない。最大のライバルはスズキ「クロスビー」だが、クロスビーもデビューからちょうど2年を迎えるので何らか対策を施してくるだろう。〈文=一条 孝〉

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