これは、カッコいい! ボルボの新型S60が、ひと足お先にお披露目

●S60 T8 ポールスター エンジニアード。今回は先行公開として、北米仕様が持ち込まれた

最上級のポールスターグレードが上陸!

ボルボ・カー・ジャパンは、新しいCIで今秋発売を予定している新型セダン「S60」を、メディア向けに公開した。

●磨りガラスを使った自動車ディーラーって見たことあります? これがボルボの新スタンダード。透明のところからちょっとでも顔を出したクルマが見えればいいらしい。斬新!

新CIで統一された完成したばかりのショールームへ入ると、1台だけ置かれたブラックの車体が迎えてくれた。後ろ向きに置かれた車体は、まるでその美しいクーペ風のフォルムを見せつけているかのようだ。各地のショーにコンセプトカーとして出展されていた「コンセプトクーペ」とも通じる、ワイドに構えた低いボディ。特徴的なテールランプと、FFベースでは異例とも言えるほど前方に配されたフロントタイヤの位置から、紛れもなく新世代ボルボのセダンだと認識できた。

●S60 T8 ポールスター エンジニアード。T8のRデザインがベース
●リヤから見ると、美しいフォルムは際立つ。フロントの長さが絶妙だ
●フロントはV60とほぼ同じ。ワイド&ローなスタイリングを実現している
●ひと目でボルボだとわかる、特徴的なテールランプ。ポールスターのエンブレムも備える
●サイドから見ると、伸びやかなフォルムと、切り詰められたフロントオーバーハングの短さがわかる

S60は、2018年にデビューしたステーションワゴンモデル「V60」のセダンバージョン。フロントまわりこそV60と共通だが、キックアップされたリヤのサイドウインドーや、その直下に広がるボリューム感のあるフェンダーデザイン、そして個性的なテールランプが配されたトランク部分が、S60の特徴を表している。限りなく短くされたフロントオーバーハングと相まって、前述のフロントアクスルが前方に配された新プラットフォームがもたらす伸びやかなフォルムは、V60よりもS60の方が強調されているように見える。これはカッコいい。思わず口から漏れていた。

●専用のゴールドキャリパーは、ブレンボとポールスターのダブルネームが入る
●充電口は左のフロントフェンダーに備わる

S60は、欧州Dセグメントと呼ばれるカテゴリーのミドルサイズセダンで、メルセデス・ベンツのCクラスや、BMWの3シリーズ、レクサス IS、マツダ アテンザらと同クラスのクルマだ。北米ではすでに発売され、日本には2019年の秋以降に導入される予定となっている。

●フロントグリルの向かって右側に付く、新生ポールスターのエンブレム

今回公開されたのは、北米仕様のハイパフォーマンスバージョンで「S60 T8 ポールスター エンジニアード」。T8とは、ボルボブランドの上位車種につけられる共通のグレード名称で、2Lツインチャージャーエンジン+モーターのPHEV(プラグインハイブリッド車)というのが特徴。このポールスターエンジニアードも、以前のポールスターモデルと違いPHEVがベースとなっているのが1番の差異点だ。

●ボルボ車は2Lターボが基本。T8は最上級グレードなので、スーパーチャージャーとモーターが追加されているPHEV
●ストラットタワーバーが専用の補強。タワーバーの向こう側、バルクヘッドにも補強が入っているが、これはベース車も同じ
●ボンネットを開けるだけで、オーリンズ製ダンパーの調整をするダイヤルが現れる。もちろん専用装備だ

ボディに補強が施され、サスペンションもオーリンズの調整機能付きダンパーへ変更。ブレンボとポールスターが共同開発したブレーキシステムを装備し、パワートレーンではECUのマッピングが変更されている。中身はだいぶノーマルモデルから強化された。だが、外観上でのノーマルとの識別点は、一新されたポールスターのエンブレムと、ゴールドに塗られたブレーキキャリパー、ポールスターのロゴが隠れているブラッククロームのマフラーなど、数少ない。派手なエアロパーツなどはまったくなく、前回までのポールスターとは見違えるほど大人しくなってしまった。「羊の皮を被った狼」感がさらに増したと言ったほうがわかりやすいだろうか。

●最新ボルボのデザインが生きたインテリア。縦長のセンターディスプレイが目を引く
●サイドサポートの張り出しが強いバケットタイプのシートが備わる。ベルトはイエローの専用色
●ラゲッジルームは広く、開口部も大きいので使いやすそうだ。リヤシートは6:4の分割可倒式
●サブトランクにはスペアタイヤは見当たらない。パンクの修理キットや工具などが収まる

「その理由は、ポールスター自体の方向転換というのが根本にあるからではないでしょうか」と答えてくれたのは、ボルボ・カー・ジャパンのマーケティング部プロダクトスペシャリスト、岡田勝也氏だ。「電動に特化した高性能ブランドというのが、新しいポールスターの位置づけです。以前はWTCCなどレース直系のレーシングブランドのイメージでしたから、がらりと変わっています。電動系プレミアムブランドと認識してくださると嬉しいです」と岡田氏は、ポールスターの現在をわかりやすく教えてくれた。

●S60の車両説明を個別にしてくれる、岡田氏。ポールスターブランドの変遷もわかりやすく説明してくれた

なるほど、納得。以前の水色がイメージカラーだったポールスターとはまったく別物というわけだ。今回のポールスター エンジニアードは、新たなボルボの最上級グレードとして位置する。他ブランドのような派手な外観を求めない人にとっては、魅力的なモデルとなるに違いない。

●ショールームの中2階。リビングルームをイメージした、温かみのあるスペースが広がる
●商談ルームには、北欧ブランドの高級チェアやソファーが何気なく置かれている

ちなみに、このポールスターエンジニアード、日本に導入される台数は非常に限られた台数になるらしい。というのも、そもそも大量生産を想定していないモデルなので、世界中で数百台レベルでしか生産されない。その限られたなかから日本市場向けを割り当てると、数十台にまで減ってしまうようだ。

●商談スペースには、ボルボグッズも展示されていて、気軽に購入できるようになっている
●2階の商談スペース。こだわりのウッドチェアは、北欧の有名ブランド。日本だけでなく世界中のボルボディーラーで採用されている

だが、台数が限られているのはこのポールスター エンジニアードのみ。S60自体は、S90と違いカタログモデルとしてラインアップされる、ボルボでは唯一のセダンとなる。PHEVグレードのT8も導入されるだろう。今回は詳細なスペックや価格などは一切発表されなかったが、この秋には明らかになる。Dセグメントは各社魅力的なモデルが揃うが、このサイズのセダンを探しているのなら、もう少し、秋まで待ってから選びたい。そう思わせるには十分すぎる魅力を持った、ニューモデルがボルボからまもなく登場する。

●納車用スペースが用意されているのも、新CIを導入したディーラーの特徴
●納車前の車両説明や、キーを渡すためのスペースも設けられていた

 

<文&写真=編集部・青山>