〈主査インタビュー〉ロードスター生誕30周年記念車に込めた思い、そして次世代モデルの話

 

「感謝と期待」……次期型の型式はどうなる!?

―― すなわち、今回の限定車のテーマは何なんでしょうか?

中山 ズバリ、テーマは2つ。何らかの形で、これまでの感謝を伝えたいというのが1つ。2つめはこれからの決意を伝える、ということで。どこかに、次世代への思いを入れたい……。

―― 現行型はNDなので、次のモデルの型式はNEじゃないんですか?

中山 いろいろとありまして。

―― あ、フィアット版がNFでしたね!

●アバルト124スパイダー。車両型式は、NF型である

中山 そうなんです笑

―― 順番に使っていくとなると、立ち行かなくなってしまいますね。Fを飛ばしたとしても、その次はG。NG型になっちゃう。こりゃダメだ(笑)

中山 いずれにしても未来への決意もコンセプトに入れたい。ロードスターを続けていきますよというメッセージ。

―― 話を最初に戻して、感謝のメッセージはどうお伝えするのでしょうか?

中山 まず過去を振り返ってみようと。30年前のシカゴショーですね。「driver」さんのこの号(1989年3-20号)を見てみてください。じつは私、この雑誌を持っていました。青いミアータの後ろに、赤いクルマがあったこととか、すごく覚えていました。平置きには、白と青のクルマも置いてあって。都合、赤白青の量産車が置いてありました。じつはこれ、アメリカの国旗になっていると、ご存知でした?

●MX-5ミアータ(ロードスター)の世界初披露の舞台

―― そうなんだ。知りませんでした。

中山 ボクは、当時の福田(成徳)本部長から聞いたんです。アメリカの国旗の色にしたんだと。日本の場合は、この色に加えてシルバーがあって、4色で発売。アメリカはこの3色にこだわって、赤白青の3色しか発売してないんですって。さらにドライバーさんのこの号を見ていただくと、この黄色のモデルが紹介されています。ちなみにボクが当時乗っていたクルマはCR-Xでしたが、モモベローチェレーシングのステアリングが付いていました。この黄色いクルマも、モモベローチェレーシングなんですよ、ということで結構覚えていまして。

●driver(1989年3-20号)、30年前のシカゴオートショー速報記事

 

コトとモノという最近の言い方をすると、モノとしては3色の量産車があって、コトとして、ショーカーの黄色いコンセプトカーがクラブレーサーという名前で出てきた。これをリスペクトしましょうよとなりました。今回の限定車をシカゴオートショーで世界初披露するにあたり、ズバリ、これをひっくり返して再現しましょうよと。当時、コトだったクルマが、モノとなって実現して、黄色ではないけれども、ビビットな色のクルマとして。あとは、初代は赤で、2代目は10周年記念車の青、20周年記念車は青と白があったんですが、白を持ってくると、きれいに赤白青になって、当時のモノがコトになり、コトだったものがモノになると。それが過去へのリスペクトです。

 

●シカゴオートショー2019では、オレンジの30周年限定車の傍らには、30年前をイメージさせる赤、青、白の歴代限定車が展示された

 

当時、コトだった黄色のモデルはクラブレーサーという名前。レーシングな雰囲気になってました。今回の限定車も、そういう雰囲気にするために、基本的な部品はRSのものを持ってくると。クラブレーサーのキャリパーは黄色でしたけれども、30周年限定車のブレンボのブレーキをオレンジ色にしています。それに合わせてリヤも。ブレンボは、通常モデルでもRFなら、17インチのBBSホイールを付ければ入ります。ですが、16インチにはは入りません。そこで今回はレイズさんに、16インチにブレンボが入るように、鍛造で、新しくホイールを作ってもらいました。

●新規で作られた16インチのレイズ製アルミホイールと、オレンジ塗装のブレンボ製ブレーキキャリパー

 

―― ブレンボは、部品自体はRSと同じものだけれど、色がオレンジなんですね。それを16インチにも入れるために、レイズに新規で作ってもらったと。

中山 16インチはもちろん、17インチのほうも、レイズさんに鍛造で作ってもらいました。レイズさんは、787Bのホイールも作ってもらったので、昔からマツダと縁があって。かつグローバルMX-5カップのホイールもレイズ製(ZE40)です。そんなレーシーなホイールを持ってくるという意味でも、当時のクラブレーサーのコンセプトを体現すると。

 

●グローバルMX-5カップカーのホイールもレイズ製

 

―― 16と17、両方用意するのですね。

中山 そうです。日本でいうと、30周年限定車のRFには17インチが入り、それはグローバルMX-5カップのクルマとほぼ同じホイールです。でも、ほぼと言ったのは、17インチも専用で作ってもらったからです。

―― え、違うんですか?

中山 あれは、幅が広いんです。グローバルMX-5カップのホイールは7.5Jです。今回は、7Jのものを作ってもらっています。

―― そもそも、なぜオレンジなのですか?

中山 ここまでやってもらっても、エモーショナルな企画をやるときは、経営陣にも気持ちよくなってもらわないといけない。というわけで、今後の、すなわち夜明けにこだわりました。それがこのオレンジなんです。

―― 日没のほうじゃないんですね(笑)

中山 夜明けです! これは、今回の取材のために作ってきた、オレンジの御神体です。ソリッドのオレンジ。ソリッドのオレンジって、色開発がすごく難しいんです。インテリアとか、シートのパイピングとかも、オレンジステッチで仕上げています。

―― RSのシートで、パイピングとかステッチがオレンジ色になるわけですね。

●今回の取材のために作られた、ソリッドのオレンジ塗装が施されたオブジェ。ちなみに奥に見えるのは、オーナーへ渡されるオーナーズブックと、オリジナルの時計。どうやらこの時計も販売するとかしないとか……

 

●効果的にオレンジがあしらわれたレカロシート。形状そのものは、RSと同様

 

●ドアトリムや、エアコンルーバー、インパネのステッチなどもオレンジでコーディネート

 

次ページでは? 細部にまでこだわった30周年記念車の秘密