〈主査インタビュー〉ロードスター生誕30周年記念車に込めた思い、そして次世代モデルの話

 

 

「レーシングオレンジ」に込められた高ぶり

―― レーシングオレンジという名前には、何か思いがあるんですか? スポーティな仕様というのはあると思うんですが、あえてレーシングと付けた理由。

中山 レーシングというのは、ホントの自動車のレースではなくて、ファン!ってふかすことをレーシングというじゃないですか。辞書を引くと、心が高ぶるだとか、そういうのにかけたのがレーシング。それ以外にもいくつか候補はあったんですが、高ぶるというのは表現できていなくて。

―― 例えば、サーキット、とか? でもそれじゃ、まんまサーキットしか思い浮かばなくなっちゃいますもんね。

中山 もしくは、回路、とかね。レーシングって、最初はベタ過ぎる?とも思われるのですが、説明すればわかってもらえるかなと。名前を決めるのも大変でした。

●シカゴオートショー2019での中山氏。この夜明けをイメージさせるオレンジは、次世代ロードスターへの決意表明でもあるという

―― 次のクルマのお話を最後に。型式として“E”になるかどうかは置いておいて、ここまで引き継いできたものは、今後も続いていく、その決意表明でもあるわけですよね。正直、次のクルマってすごく難しいと思うんです。NCが、ちょっと大きくなったとか、なんやかんや言われて、そこからNDになって、ちっちゃくしたんだ!って。クルマにそれほど詳しくない人でも、「おお、ちっちゃくしたんだ、マツダすごいね」ってなる。でも、NDでここまで基本に帰って作ったクルマの次って、さてどうなるんだろいうか、心配。それは期待感の表れでもあるのですが。こうなりたい、こうしたいんだということを実現したのがNDじゃないですか。もうすでに、中山さんのなかに構想はあるのですか?

中山 確かに言われたとおり、NDって、大変でしたけれど、方向がわりと明確でした。

―― NCの時代、「大きくなった」と言われたロードスターですが、RX-8と基本部分を共有化しなければ続けていくこと自体困難だった。そんな時代を乗り越え、NDでは「原点回帰」を掲げて開発されたわけですもんね。

中山 そうです。でも変わらずに真ん中を走りながら、何かを生み出すってじつは難しい。

―― 変わらないことがロードスターだって言うけれど、代々、じつは個性的。なので、NDの今、一本道をどうやって走っていくのか。このオレンジは、今のマツダからもちょっと外れて、目新しさが見えるじゃないですか。そういう意味でも、すごくおもしろい。

中山 なんにしろ、盛る方向で進化したというのはやめようと思っています。といいつつ、今でも、ちょっとずつ盛っていますから。安全装備の追加とか。ただし、オフセットして重量を上げないようにってやっていますが。一度付けて重くなって反省して取り外して、という方向なのか、重くならない技術ができあがるまでにやらないのか。後者のほうが、進化の仕方としてありなのかなと。なので、もうこれからもズレない。ずっと、レーンディパーチャーワーニングが働いているような笑

―― だって、テレスコピックが付いただけで議論がありますもんね。マツダ社内の人に、「あれはどうなんですか?」と聞くと、「おれはいらないと思うんだけどな」っていう人もいる。一方で、あれは絶対いるっていう人もいる。

●2018年6月発表の改良時に、テレスコピックステアリングを歴代初採用。手前に30mmの調整が可能となった

中山 そうなんです。でも、これに関しては私は極めて明確な意思を持っています。マツダが何を偉そうなことを言ったって、ドラポジが、ステアリングが遠いっていう人が圧倒的に多い、ロードスターの場合。過去のロードスターは、ボクもそうですがスペーサーをかましています。スペーサーをかまして動かせるクルマを作っているんだったらいいですが、今はエアバッグとかがあって動かせない。だったら、調整できる装置をつけることが正しいエンジニアリングだと思うんです。重いからといって手段から除外するのはエンジニアリングではなくて、軽くして入れるのがエンジニアリング。重いから入れない、それがロードスターの精神なんだっていうのは違う。

NAは自分で代えられたんですから。代えられないというのはNAから退化してるんだから、それは正しくない。例えばデザイナーが、安全とか理由をつけて「かっこ悪くなりました」と言っているのと、もしかしたら次元は同じかもしれません。それは、エンジニアは絶対言っちゃいけないんです。実際、NDのテレスコピックは400グラムの重量増に抑えてくれています。ウチのエンジニアのがんばりで。昔のままだったら、何キロもするので、付けなかった。NCは、エアバッグを付けて、テレスコは何キロもするから付けなかった、ということです。技術の進化ですね。

―― このオレンジのクルマ、過去への感謝と未来への号令と受け止めれば、次のロードスターもブレずにいくよという宣言とも取れて、とても期待できるなと思いました。

中山 今年1年間、30周年というお祭りなので、いろいろとやっていくつもりです。まだ言えないこともたくさんあるのですが。このマークをたくさん見る機会があると思います。

―― このマークは、フリー素材?

中山 バラしてはいけないとか、背景に模様を入れてはダメとかいろいろルールはありますが。RCOJ(www.open-inc.co.jp/rcoj/)さんは、このマークを使ってステッカーを作ってらっしゃいます。ネット販売してらっしゃいますけれど。白と黒セットで500円だったかな(笑)

 

〈文=編集部〉

 

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