ちょっとややこしい? デミオベースの北米ヤリス ハッチバックが登場【ニューヨークショー2019】

デミオとは顔が違う「ヤリス ハッチバック」

4月17日、北米トヨタはニューヨーク国際オートショーで2020年型ヤリス ハッチバックを発表した。

言うまでもなく、ヤリスはトヨタのグローバルモデルだ。しかし、今回登場したのは車名こそヤリスを名乗るが、現在欧州で販売しているヤリスや、日本のヴィッツとはまったく異なる北米専用モデル。マツダのメキシコ工場で生産されるデミオ(海外名マツダ2)をいわゆるOEM供給される形で北米のみで販売されるクルマだ。搭載されるエンジンもスカイアクティブG 1.5(1.5リッター4気筒ガソリンエンジン)。

今回登場した新型ヤリス ハッチバックとデミオを比較してみると、大きく違うのは顔まわり。ヘッドライトやバンパーまわりなどがヤリス ハッチバック専用となる。このデザインは、すでに北米トヨタのラインアップに存在するヤリス セダンと共通だ。

●北米仕様のヤリス ハッチバック。デミオとはヘッドライトやバンパーのデザインが異なる
●こちらはマツダ デミオ

欧州仕様や日本のヴィッツもそろそろフルモデルチェンジとなりそうな時期の新型発表ということもあり、この先の動向が気になるところ。そこで発表会場にて関係者に確認したところ、北米仕様のヤリスはあくまでもアメリカ専売モデルであり、今後も欧州、日本で販売されるヤリス/ヴィッツがマツダ製になることはないとのことだった。

実際のところ、北米ヤリスのフロントデザインが、カローラやカムリといったキーンルックの「トヨタ顔」でないのには少々複雑なバックグランドがある。

デミオベースの車両をトヨタがマツダからOEM供給を受けるのは、すでに2015年から始まっていて、当初は北米トヨタの若者向け向けブランド「サイオン」の新型セダンとしてデミオ(マツダ2)の4ドアセダンモデルを2016年型のサイオンiAとしてアメリカで販売していた。

が、2016年6月にサイオンブランドが廃止されたのに伴い、同じモデルをトヨタ ヤリスの4ドアセダン版として一旦「トヨタ ヤリスiA」として発売。2019年モデルからは車名を「ヤリス セダン」に改め、現在に至っているという経緯がある。

●こちらは2019年モデルの「ヤリス セダン」。デミオ セダンがベースで、フロントマスクがヤリス専用となっている

当初デミオのフロントマスクをサイオンブランド化する形でデザインされたものが、そのままトヨタブランドの北米版ヤリスに引き継がれたという格好だ。

もともとサイオンiAがトヨタブランドに変更された時点では、北米のヤリス5ドアハッチバックは2018年まで日本版ヴィッツと同じ「XP130型」をEUフランス工場で生産、輸入して販売。車体も欧州ヤリスそのものだった。しかし2018年にフランス工場からの輸入を終了し、2018年型を最後に2019年のアメリカのカタログからヤリス 5ドアハッチバックは消えていた。だが今回、2020年北米専用モデルとしてとして北米版ヤリス セダンとトランク以外のボディ、メカニズムを共有するメキシコ生産、マツダ製ハッチバックモデルを、北米専用として販売することになったわけだ。

●2018年モデルを最後に販売を終了していたヤリスの5ドアハッチバック。今回登場したデミオベースの「ヤリス ハッチバック」は、このモデルの代替えという位置づけとなる

現時点で、世界中でヤリスの車名で販売されているのは、欧州ヤリス(国内仕様ヴィッツ)の「XP130型」と、東南アジア向けヤリス(タイで生産されている「XP150型」)の2タイプ。そして今回の北米仕様ヤリス(デミオベース)が加わることで、販売地域ごとに異なる3種類のヤリスが流通することになる。

為替や輸入関税など先の読めない状況下、とりわけ販売価格が重要になるサブコンパクトのエントリーセグメントでは「地産地消」の原理が効いてくる。NAFTA(北米自由経済圏)のメキシコから輸入するという判断は、極めて合理的なことと思う。

●2020年モデルの「ヤリス ハッチバック」をリヤから。北米では、カローラ ハッチバック(日本名カローラ スポーツ)の弟分という位置づけとなる

〈文&写真=ケニー中嶋〉

※2019年4月23日、一部記事内容を修正しました