アウディA6アバント55TFSIクワトロ試乗記 じつは良さばかりではなかった!?

 

2019年3月にフルモデルチェンジしたアウディA6。最初に日本へ導入されたのは、3リットルV6ターボ+マイルドハイブリッド(MHEV)搭載の55 TFSIクワトロだ。ついに1000万円クラスとなってしまったA6。今回は多くの雑誌やウェブで執筆する自動車ジャーナリストの内田俊一が、 ワゴンボディのアバントを700kmほど連れ出してテスト。その印象は、良いところが目立ってはいるものの、悪い点もチラホラ!? なんとも興味深いレポートを届けてくれたぞ!

 

まずはV6 3リットルエンジンから導入

今回テストに供されたのは、48Vマイルドハイブリッド(MHEV)を搭載した3リットルV型6気筒エンジンに7速Sトロニック、そしてクワトロ(4WD)が組み合わされた55TFSIクワトロだ。最高出力は340馬力、最大トルクは500Nmを発生。0→100km/h加速は5秒1(欧州発表値)、最高速度は250km/h(電子制御リミッター作動)というカタログデータである。

48V駆動のMHEVシステムは、おもにベルト駆動式オルタネータースターター(BAS)とリチウムイオン電池で構成。コースティングファンクション(惰性走行)は55~160km/hの間で可能で、スタート/ストップ機能(アイドルストップ)は22km/h以下に落ちると作動する。エンジン停止からの再スタートはBASによって行われるため、極めてスムーズだ。

●MHEVシステムを搭載した新型V6ユニット

減速時にはBASが最大12kWのエネルギーを回生し、MHEVテクノロジーによる燃費改善効果は、100km走行あたり最大0.7リッターであるという(欧州仕様参考値)。

A6のクワトロは前輪駆動状態をベースとし、状況に応じて後輪への駆動配分をアクティブに予測制御することができる、高効率な新世代クワトロシステムを採用。前輪のみを駆動している場合では、プロペラシャフト以後をクラッチによって切り離し、シャフトを回転させるためのエネルギーロスを削減している。

●リヤゲートの角度は、横から見るとよくわかる。この角度で積載性は損なわれないの? という疑問は、後ほど解消してくれる

19年内には252馬力/370Nmの2リットル直列4気筒 TFSIや、207馬力/400Nmの2リットル直列4気筒TDIを搭載するモデルもラインナップに加わる予定である。

足まわりに関しては、ダイナミックオールステアリングホイール(4輪操舵)を採用。市街地では良好な取りまわし性を、ワインディングロードでは俊敏な走りを、高速道路では優れた直進安定性といった、相反する性能を実現するために採用されたシステムで、およそ60km/h以下の低速域では逆位相に最大5度、60km/h以上では最大1.5度、後輪をステアする。

小まわり性抜群。乗り心地の良さも際立つ

諸元の説明はこのくらいで早速走り出してみよう。アウディの広報車デポでクルマを受け取り、狭い路地裏を抜けながら最初に感じたのは、ボディサイズが思ったほど大きくないということだった。これは全長×全幅が4950mm×1885mmという絶対値からくる印象からはほど遠く、4500mmほどのクルマを操っている印象なのだ。この理由は諸元のところで述べたダイナミックオールステアリングホイールにある。その作動に違和感はなく、小まわりもよく効くので、するすると路地裏を走らせることができた。あとで改めてスペックを調べて驚いた次第である。ちなみにダイナミックオールステアリングホイール付きの最小回転半径は5.2m、なしでは5.7mである。

●角度が少ないのわかりづらいかもしれないが、これが後輪操舵時の状態。取りまわしがいいのはコレのおかげ

当然路地裏ではストップアンドゴーを繰り返すことになるのだが、その際には積極的にアイドルストップが介入する。再スタートもBASがうまく動作しスムーズで振動もない。ただし、一時停止のたびにこれが繰り返されると、正直うっとうしくなることも事実。こういった徘徊時にはアイドルストップをオフにしたほうがストレスはなさそうだ。

やっと路地を抜けて幹線道路に出ると、このA6のすばらしさが垣間見える。それはエンジンのスムーズさと滑らかな走り、そして乗り心地のしなやかさだ。高級感のある乗り味は1000万円を超える価格帯に相応しいものといえる。

●しなやかな乗り心地はA6ならでは

最近はDセグメントあたりでも4気筒が多くなっているなか、やはり6気筒のスムーズさは際立っている。アクセルに対するレスポンスもリニアであり、思ったとおりの加速も手に入れられる。一方、減速に関してはコースティング機能によりエンジンブレーキの利きが甘いことがあった。

乗り心地のしなやかさも格別だ。特にダンピングコントロールの電子制御は秀逸で、多少荒れた路面でもボディをフラットに保つほかに、245/45R19インチの大径タイヤによるばね下の重さもほとんど感じさせないのだ。では、ワインディングでは心もとないかというと、決してそんなことはない。きつめのコーナーでもロールを感じさせずほとんどニュートラルステアで、かなり速度域を上げるとわずかにアンダーステアが顔をのぞかせる。しかしそれはかなりがんばった結果で、通常の速度域であればそういったシーンに遭遇することはまずないだろう。

 

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