【日本人F1ドライバーへの道】松下信治、FIA-F2モナコで表彰台獲得。流れにのれるか?

予選は速さを見せるも、トラブルに泣く

バーレーンでの開幕ラウンドを9位、12位という結果で終えた、FIA F2にカーリンから参戦中の松下信治選手。開幕前のテストでは順調で見込み十分と感じられた決勝でのレースペースが伸びず、しかも第2戦では駆動系のトラブルも出てしまい、復帰戦を飾ることはできなかったというのは、前回お伝えしたとおりである。

続く第2ラウンド、バクーの市街地コースで開催されたアゼルバイジャンGPでは松下選手は予選でポールポジションを獲得する。じつはバーレーンでも「アゼルバイジャンは速いと思います」と松下選手は話していた。実際、フリー走行からトップタイムを連発。いいイメージが持続していたのだろう。

しかしながら、このチャンスを生かすことはできなかった。フューチャーレースと呼ばれるレース1で、順調に走行を続けていた松下選手のマシンにステアリングのトラブルが発生。ピットインを余儀なくされ結果は13位に。巻き返しを狙ったレース2のスプリントレースでは、他車のクラッシュによるセーフティカーランが続き、12位に終わってしまう。

「ポールを取れたのはよかったですが、不完全燃焼ではありました。それでも、いい要素はいくつもあったんでポジティヴな気持ちでバルセロナには望めるなと」

なかなか波に乗れない

よって第3ラウンドであるバルセロナは非常に重要なレースとなった。もう、取りこぼしをしている余裕はない。無論、松下選手本人も、それは重々承知である。

「シーズンは長いようで短いですから」

金曜日のプラクティスでの順位は7位と、悪くはない。しかしながら予選は11位に終わる。

「予選アタックの時に最終セクションで渋滞しちゃって、タイヤが冷えてしまって……」

迎えたレース1決勝。10番手スタートとなった松下選手は序盤、慎重に慎重にラップを重ねていく。タイヤの摩耗をこれまで以上に気遣い、無用なバトルを避けていくつもりだというのは外野からも見て取れた。6周終了後、やはり早めのピットインで13位近辺に順位を落としたあとも、残り30周ハードタイヤを維持するべくペースをキープして周回を続ける。上位のうち6台はピットインを先延ばししているから、彼らが義務付けられた1度のピットストップを済ませれば、入賞圏内に入るはずだ。

実際、37周のレースの残り3分の1となった13周目あたりには9位まで順位を上げたのだが、松下選手のペースはここでガクッと落ちてしまい、結局フィニッシュ順位は11位に沈んだ。チームメイトのL.デレトラズも12位と、カーリンの2台はともに振るわなかったかたちである。

実際、優勝したDAMSのN.ラティフィ、2位に入ったカンポスのJ.エイトケンのベストタイムは1.34秒台頭で、約1秒も速い。それなのに最後までタイヤを保たせ、最終的には30秒近い差をつけているのだ。開幕戦で露呈したタイヤマネージメントの問題、チームがいまだ解決できていないことは明らかといっていい。

トラブルの連続。マシンが燃えた

そこでチームは翌日のレース2に向けてセッティングを大幅に変更することに決めた。テストはできずぶっつけ本番とはなるが、現状のままではしょうがない。

レース2での松下選手はいつもどおりスタートで順位を上げて、さらに上を狙う。しかし……次の瞬間にモニターに映し出されたのは、白煙を吹き止まるカーナンバー2の姿だった。しかも白煙は炎に変わり、なかなか消えない。当然、松下選手はすぐにマシンを降りてリタイヤとなった。

「何かが起きたのはわかったんですが、エンジンか電気系のトラブルかなと。ミラーには炎は写っていなかったんですが、突然ターン10でチームから『マシンを止めろ』と言われて、見たら炎が上がっていました。クルマは全損です。幸い、次のレースには新しいシャシーが間に合いそうですが、レースペースを確かめられなかったのが痛いですね。でも、来てる感触はあるんです。もうワンステップできれば、そのときは来るなと」

次戦の舞台となるモナコは2017年のレース2で優勝している得意なコース。予選が重要なのはF1と同様で、その意味でもチャンスは大きい。前に出てしまえば、後続の頭を抑え続けるのはほかのコースよりも容易だからである。

やっと今シーズン初の表彰台なるも
カーリンのさらなる奮起にも期待

そんな期待が裏切られることはなかった! ようやくの表彰台、獲得だ。

2週間後のモナコ モンテカルロで開催されたFIA F2の第4ラウンド。松下選手はプラクティスこそトラブルでほとんど走れずに終わったものの、2グループに分けられた予選ではグループBの5位を獲得し、9番手スタートとなる。そして決勝でも赤旗中断、セーフティカー導入が続く乱戦の中で見事な走りを披露して3位フィニッシュ。2位のドライバーの失格により順位はひとつ繰り上がって、最終的には2位となったのだ。ようやくの表彰台である。

しかしながら土曜日のレース2では、リバースグリッドの7番手からスタートして6位に順位を上げるも電気系のトラブルが発生して後退。9位フィニッシュとなった。

ともあれ、これで20点を加算したことでドライバーズポイントは26点で10番手につけることとなった。残りは8ラウンド16戦だから、まだまだチャンスは十分。次戦フランス以降のパーマネントサーキットにおけるタイヤ摩耗の懸念はまだ残るが……カーリンにはマシンの速さだけでなく信頼性についても、今一度の見直しを求めたいところである。

〈文=島下泰久 写真=Honda〉