最大の謎…? スープラはどの港で陸揚げされるのか

このところの自動車メディアは、スープラ一色といった感じだ。詳細解説やサーキットや一般道での試乗記事であふれている。

そこで違う角度からスープラを見てみよう。ご存じのとおり2013年のBMW社との包括提携によって生み出された、初のモデルがスープラ。生産は01年、BMWグループと生産委託契約を締結したマグナ・シュタイヤー社のオーストリア・グラーツ工場で行われている。現在ここではスープラのほかにメルセデス・ベンツGクラスが1979年から生産され、ジャガーのEペイス、Iペイス、BMWの5シリーズも生産されている。

スープラ量産第1号車の車両識別番号(VINナンバー=日本では使用しない)は「20201」。2020年モデルの1号車の意味だ。1号車はアメリカでオークションに出品され、210万ドル(約2億3000万円)で落札された。

グラーツ工場で生産されたスープラは、どの港で自動車運搬船に載せられるのだろうか。トヨタ自動車の広報に聞くと、
「輸送につきましてはスープラ特有ということはなく、ほかのトヨタ車と同じように欧州から各国に出荷します。出発港はBelgium(ベルギー)のZeebrugge(ゼーブルッヘ)港で積み込み、到着港はさまざまな車種の輸送を考慮し決定されます」
という。

Z4は千葉港。スープラは?

スープラの兄弟車であるBMW Z4はどうなのだろうか。Z4ももちろん同工場で生産されている。BMWグループ・ジャパン広報部によると
「Z4は千葉県の千葉港で陸揚げされます。日本向けのBMW車は基本的に千葉港に入ります。スープラが一緒に輸送されているかはわかりません」
との回答だった。千葉港はトヨタやスバルなども輸出用に使っている港で、愛知県の三河(豊橋)港に次ぐ輸入車の玄関口となっている。さらにトヨタ広報にたずねると意外な答えが返ってきた。日本の○○港で陸揚げするということは明かせないというのだ。

そこで自動車運搬船の寄港地を調べると、三河港で一部のクルマを下ろし、次に千葉港に入ることが多いことがわかった。きっとスープラも三河港で陸揚げされるはずだ。Z4と混載されていると仮定すると、スープラのほうが一歩先に日本に上陸することになるわけだ。

上陸したスープラがトヨタの元町工場に搬入されることは判明しているが、ここで何をしていか、どんな作業内容かもトヨタ広報は明かせないという。なぜ秘密にするのか疑問だが、BMWなどの外資系の輸入車は通常PDI(出荷前点検)センターを通してから各ディーラーに運ばれるから、トヨタもPDIの作業を元町工場で行っているはず。

元町工場でスープラはどんな検査を……?

元町工場はクラウンやマークX、FCVのミライ、レクサスGSやLCを生産していて、過去にはスーパースポーツモデルのレクサスLFAを生産するLFA工房があったことでも有名。高い技術力がある工場だからPDIを任されているともいえるが、マークXが2019年12月をもって生産終了となるため余力があったとも推察できる。

ここで気になるのは、スープラが国土交通省から型式指定(A90型ではなく、DB型)を受けたモデルということ。登録時に運輸支局または検査登録事務所に実車を持ち込まなくてもナンバーが取得できるわけだ。これは道路運送車両法に適合していることを示している。ということは元町工場で国が定める完成車検査を受けているはずだ。

だが、輸入車が完成車検査のすべての項目を改めて日本でテストすることはない。輸出国の完成車検査のデータを利用でき、日本の保安基準で検査しなければならない項目だけ日本で検査する。いわゆる”相互認証”以外の検査でいいわけだ。スープラがどのような検査やPDIを受けているかはわからなかったが、まだまだ公開できない秘密がありそうだ。

〈文=丸山 誠〉