連載「密着! TCRジャパン」第1回 TCRってなに? どんなクルマで争われるの?

●世界統一基準のツーリングカーレース「TCRジャパンシリーズ」

 

TCRジャパンとは、いま世界中で一大ブームとなっているレースマシン「TCR」によって争われる、2019年から始まった日本のシリーズ戦。昔からレース好きを熱くしてくれる、いわゆる現代版の「ハコレース」だ。注目度の高いこのシリーズを、カメラマンの高橋 学氏がリポートしながら見るべきポイントを紹介してくれるぞ。今回から始まるWeb連載企画「密着! TCRジャパン」。まず初回は、レースの主役でもある今季の参戦車両を見てみよう!

その辺で走っている、見慣れたクルマが競うレース

ホンダ シビックやVW ゴルフなど比較的身近なクルマをベースに、本格的なレーシングマシンに仕立てたTCR規定のマシンで繰り広げられる、スプリントレースのシリーズ戦「TCRジャパンシリーズ」が2019年5月に開幕しました。TCR規定の車両は、4ドアまたは5ドアのボディに2リットル以下のターボエンジンを組み合わせたFWD(前輪駆動)と決められていて、その基準は世界中で統一されています。

参加できる公認車両は世界中で走るポピュラーなマシンが大半で、冒頭に述べたホンダ シビックやVW ゴルフのほか、アウディ RS3やアルファ ロメオ ジュリエッタなど街中で見かける機会も少なくないクルマがほとんど。ちなみに日本のシリーズ戦ではまだ参戦していませんが、プジョー 308やルノー メガーヌも公認車両として登録されています。また量産車は4WDだけで展開しているスバルもWRX STIをFWD化したものや、WRC等ではすでにおなじみのヒュンダイi30のTCRマシンなども海外では走っています。

さて、そんなマシンたちがしのぎを削っている「TCRジャパンシリーズ」ですが、まずは参戦マシンのご紹介から始めましょう。

 

▪️アルファ ロメオ ジュリエッタ TCR

●ALFA ROMEO GIULIETTA TCR

レース参戦の歴史も古く日本でもスポーティーな印象が強いそのブランドイメージとは裏腹に、日本のレースシーンでは意外なほど登場機会の少なかったアルファ ロメオ。排気量は1742ccとほかのマシンより少ないものの、性能調整(BoP:バランス・オブ・パフォーマンス)の適用により車重がほかのクルマより軽くなっています。

ちなみに、TCR車両には全車両に標準で60kgのバラスト積載が義務付けられていますが、BoPによりアルファ ロメオは-40kgが適用されています。

●世界で戦うアルファ ロメオが日本でも見られるようになったのはファンにとって嬉しいニュース

 

▪️アウディ RS3 LMS SEQ

 

●AUDI RS3 LMS SEQ

ベースとなるアウディ RS3はセダンとスポーツバックの2種のボディが発売されていますが、参戦しているのはセダンボディ。ベースモデルの2.5リットル直5ターボエンジンではなく、規定にしたがって2リットル直4ターボエンジンが搭載されています。車名の「SEQ」はシーケンシャルトランスミッションを表していますが、これは同型のモデルに「DSG」を搭載したモデルもあるためにつけられたものです。

●2つのボディ形状を持つアウディはTCR車両にセダンをチョイス

 

▪️ホンダシビック タイプR FK7/FK8 TCR

●HONDA CIVIC TYPE R FK7/FK8 TCR

シビックがサーキットに帰ってきた! とは言い過ぎかもしれませんが、かつて我が国のレースシーンを彩ってきたシビックの現行型にもTCR公認車両があり、TCRジャパンシリーズにも数多く参戦しています。なお旧モデル(FK2型)も公認車両となっていますので現在でも参戦可能です。

●FK2型でも参戦可能なシビックですが、今シーズンは全チームとも現行型で出場しています

 

▪️フォルクスワーゲン ゴルフGTI TCR SEQ

●VOLKSWAGEN GOLF GTI TCR SEQ

FWDの実用車として世界のスタンダードとも評されるフォルクスワーゲン ゴルフも、昔からモータースポーツに縁の深いモデルです。それゆえ、2リットルFWDで争われるTCRの公認車両に名を連ねるのは当然かもしれません。同グループのアウディとは異なり、こちらは量産のGTIグレードと同じ2リットルターボエンジンを搭載しています。このゴルフにも「DSG」モデルが存在しますので、車名のSEQはアウディ同様シーケンシャルトランスミッションを表しています。

●旋回中スッと止まるリヤタイヤがFWDのレースらしい風景

 

以上、今シーズンの「TCRジャパンシリーズ」にはこれら4車種16台がエントリーしています。

5月にオートポリス(大分県)行われた開幕戦では、土曜日に行われた決勝レース、日曜日に行われた決勝レースともにシビックが勝利。しかし6月にスポーツランドSUGO(宮城県)で行われた第2戦では、土曜日にVW ゴルフ、日曜日にはアルファ ロメオ ジュリエッタが勝利するなど、連勝を許さない混戦具合にこのレースのおもしろさが垣間見えるようです。

ちなみに、土曜日と翌日日曜日に行われるレースはそれぞれサタデーシリーズ、サンデーシリーズとして別のシリーズとしてカウントされますが、現状では土日ともに同じドライバーが同じマシンでダブルエントリーしている状況です。

今後「TCRジャパンシリーズ」は7月13日~14日に富士スピードウェイで第3戦、第4戦は9月28日~29日 岡山国際サーキット、最終戦は10月25日~26日に鈴鹿サーキットで開催。全てが全日本スーパーフォーミュラー選手権との併催となりますので、世界統一基準のツーリングカーレースと、日本最高峰のトップフォーミュラー選手権が一度に楽しめてしまいます。

一度サーキットに足を運んでみてはいかがでしょう。

 

 

<文&写真=高橋 学 text & photo by Manabu Takahashi>


TCRジャパン オフィシャルサイト