【1989年 アコードインスパイア】10代目アコード登場を目前に、アコードから生まれたクルマを振り返る。

5気筒エンジンをFFミッドシップという凝ったマシンだった

1989年、4代目アコードの登場にあわせて設定されたアコードインスパイア。それまでアコード&ビガーが担ってきたスタンダードモデルとしての役割はアコード&アスコットが受け持つ一方で、上質なスポーティサルーンを求めるユーザーに向けて送り出されたモデルです。
コンセプトは”パーソナルなFF4ドア・スペシャルティ”。2805㎜の超ロングホイールベースとし、ハードトップボディながら従来型・3代目アコードセダンと同等の室内寸法を実現し、実用性とデザイン性を両立したボディが与えられました。

●精悍なフロントデザインのキーポイントとなるヘッドライトはマルチリフレクターで、ポジションランプ一体式。低く構えたボンネットも大きな特徴のひとつ。

エンジンは新開発の2ℓ直列5気筒「G20A型」で、これをフロントアクスルより後方に搭載。”FFミッドシップ”の優れた重量配分でリニアなハンドリング性能をもたらすのみならず、フロントサスペンションまわりに十分なスペースを作りストローク量の多いサスペンションを組み合わせる狙いもありました(サスペンション自体は従来型アコード同様に4輪ダブルウィッシュボーン式)。
ミッションは5速MTと4速ATが選べましたが、最上級グレード「AX-i」はAT仕様のみのラインアップでした。

●新開発の5気筒OHC4バルブエンジンは最高出力160馬力/6700回転、最大トルク19.0㎏/4000回転を発揮。これをミッドシップにマウント。またボンネット高を抑え低重心化するため、クランクケースとオイルパンに中空部分を設けドライブシャフトを貫通させるという独特な構造を採用している。最上級グレード「AX-i」のみトラクションコントロールシステムを搭載。

車体面も非常に凝った構造となっています。航空機やF1マシンなどには用いられていたものの、乗用車での採用例は当時なかった「ハニカム構造」をフロアとルーフに世界初導入し、軽量かつ高剛性なボディを開発。フロア部に関しては従来までの構造に対し100倍近い剛性アップが図られたといいます。また、ルーフ部はペーパーハニカムコアを2層のフェルトで挟みつつ成型したり、エンジンルームと室内を仕切るバルクヘッドを3層構造とするなど、遮音性・耐振動性にも入念な配慮が行われていました。

●テールランプはコンビレーションランプを採用。トランクルームは435ℓとゆとりある容量を確保。
●最上級グレード「AX-i」の室内。「AX-i」のシートは人工皮革・エクセーヌ張りが標準だが、本革仕様もあった。木目パネルは天然木から加工されたもので、「AX-i」は北米産ミルトルの玉杢、中間グレードの「AG-i」は西アフリカ産ゼブラの柾目が用いられている。
●アコードインスパイアは3代目ビガーの兄弟車でもあり、コチラはビガー。大人向けの上質なイメージにまとめられたアコードインスパイアに対し、ビガーは若々しいイメージを重視。ヘッドライトやグリル、テールライトなどのデザインのほか、内装の仕様もアコードインスパイアとは異なる。アコードインスパイアがクリオ店、ビガーがベルノ店での販売だった。

1992年にはボディサイズを拡大した3ナンバーモデルが登場(同時に2.5ℓエンジンも追加設定されます)。この3ナンバーモデルは車名にアコードが付随せず、「インスパイア」として独立した車名を名乗る”初代”のクルマとなりました。

インスパイアの系譜は一度途絶えるも、中国で復活

その後、1995年に2代目、1998年に3代目、2003年に4代目、2007年目に5代目とモデル変遷を遂げていったインスパイアですが、2012年に5代目で販売を終了。インスパイアの歴史は一端ここで閉じられてしまうのですが……なんと2018年に中国でインスパイアの車名が復活! そのベース車は海外市場では既に発売済みの10代目アコードという、歴史は繰り返す的な運命をたどっています。

●中国、東風ホンダでフラッグシップセダンとして販売されるインスパイアのカタログ。海外市場では既に発表されている10代目アコードがベースで、1.5ℓターボと2ℓハイブリッドがラインアップされる。

[アコード インスパイア主要諸元]
■寸法・重量
全長:4690㎜
全幅:1695㎜
全高:1355㎜
ホイールベース:2805㎜
トレッド:前1465㎜/後1470㎜
車両重量:1270㎏(「AZ-i」MT車)~1350㎏(「AX-i」サンルーフ装着車)
燃料タンク容量:65ℓ

■エンジン・トランスミッション
型式:G20A型 水冷直列5気筒OHC4バルブ
排気量:1996cc
最高出力:160馬力/6700回転
最大トルク:19.0㎏m/4000回転
トランスミッション:5速MT、4速AT

■サスペンション・ブレーキ・タイヤ
サスペンション:前後ともダブルウィッシュボーン式

ブレーキ
[AX-i/AG-i]:前ベンチレーテッドディスク/後ディスク
[AZ-i]:前ベンチレーテッドディスク/後リーディングトレーリング

タイヤ
[AX-i]:205/55R15
[AG-i]:195/65R14
[AZ-i]:175/70R14

1989年発売当時価格
[AX-i]264万4000円 [AG-i]216万1000円 [AZ-i]192万7000円
(東京地域標準現金価格、AG-iとAZ-iのオートマチック仕様は+9万5000円)

ついに、やっとやってくる。10代目の新型アコード登場は2020年初め

10代目登場を目前に、昭和のアコードを振り返る【1976年 初代アコード ハッチバック】

(まとめ●オールドタイマー編集部・上野)