現代の「あおり運転」なんて目じゃない。昔のあおりも尋常じゃなかったエピソード7選

いわゆる「あおり運転」が報じられない日はない。最近めっちゃ流行している、ように見える。なぜこれほどまでに? 原因はずばり、ドライブレコーダーを搭載する人が増えてきたからだ。

あおり運転のニュースはすべてドラレコ映像が使われている。テレビは”絵”が大事。強烈な絵があればニュースになる。茨城県の常磐道で例の”あおり男とガラケー女”、あのインパクトの強い映像はテレビで何毎回使われたろう。

9月3日、珍しくドラレコ映像なしのニュースがあった。でもあれは副町長が公用車であおり運転疑惑というネタだった。副町長と公用車というキーワード、プラス記者会見の映像がなければ報道されなかったんじゃないか。

近ごろはあおり運転なんて言葉を使っているが、昔は「交通トラブル」と呼んだ。私は2002年ごろから交通トラブルのネット記事を保存し続けてきた。昔の交通トラブルは尋常じゃない。膨大にある中からほんの一部を拾ってみよう。

★2002年5月 広島
住宅街の道路で老母を同乗させるため男性(55歳)が路上駐車。そこで乗用車で通りかかった会社員(34歳)とトラブルになり、会社員は男性の顔面を傘で深く突き刺し、脳損傷で死亡させた。

★2002年8月 静岡
ダンプの後方から乗用車が何度も追い越しをかけようとした。ダンプの運転手(32歳)は「ケンカを売っている」と思い、急加速したのち急制動(ブレーキ痕は14m!)。乗用車はダンプに追突し、その運転者が死亡した。

★2002年11月 神奈川
青信号になっても発進しないクルマ(無職と土木作業員の少年が乗車)に対し、大学生が1回クラクションを鳴らした。少年らは腹を立てて大学生のクルマを6km近く追いかけ、「すみません」と謝る大学生を鉄パイプで殴り殺した。

★2003年1月 茨城
利根川を渡る陸橋上に無人のトラックが放置されていた。運転手(26歳)は行方不明と警察は結論したが家族はあきらめず捜索。陸橋下の河原に運転手の遺体を発見した。2kmほど手前で車線変更をめぐり、トラックから故意に幅寄せされたと思い込んだワゴン車の男たちが、トラックを止め「ケンカ売ってんのか」などと脅し、運転手を陸橋から転落させたらしい。男たちは、「運転手が勝手に落ちた」と否認。

★2003年4月 福島
57歳男性がトレーラーを運転中、動物が飛び出して急ブレーキをかけた。28歳男性の乗用車が追突しそうになり立腹、トレーラーを追い越すなどして双方とも停車。口論になり、トレーラーの男性が乗用車の男性を絞め殺した。

★2003年7月 東京
六本木の道路に路上駐車していた高級外車に31歳男性の乗用車が追突した。軽微な事故だったが高級外車の男(32歳の暴力団員)はクルマを買い替えろと要求。関係先の飲食店に監禁し、買い替えを拒否する男性を店の包丁で刺し殺した。

★2003年9月 京都
駐車を巡るトラブルから63歳男性が、近所に住む35歳男性の頭部を猟銃で撃って射殺。自らも胸を撃って自殺。

以上は本当にほんの一部だ。こういう尋常じゃない事件が昔は続々とあった(合掌)。

2017年6月に東名高速で、悪質なあおり運転の末に追い越し車線上で被害車両を停車させ、そこへトラックが突っ込んでしまい、夫婦が死亡……。あれはとんでもなく悪質だった。しかしその後、日々報じられるあおり運転は、なんというか、昔に比べればおとなしい。悪い連中が減ったのか?

どうやらそのとおりらしい。警察庁によれば、「刑法犯」の認知件数はこうなっている。

2002年 285万3739件
2017年 132万4333件

恐ろしいデータをあげるなら、殺人の被害死亡者数はこうだ。

2002年 662人
2017年 306人

なぜ半減したのか。やぱり少子高齢化の影響が大きいのではないか。やんちゃな若者が昔よりは減り、気力の衰えた、いや失礼、分別のあるお年寄りが増えたと。

犯罪が半減したなかで、ドラレコの普及と「テレビは絵が大事」という事情から、あおり運転が日々報じられるわけだ。

私は裁判傍聴マニアでもある。交通トラブルの裁判もけっこう傍聴してきた。交通トラブルはクルマ同士とは限らない。バイク、自転車がらみのこともある。歩行者同士の交通トラブルもある。自尊心が異様に強く些細なことでカッとなり、「俺は被害者だ。俺が正義だ!」とばかり執ように食いつく者がいる。そういう物には近寄らない。逃げる、逃げられないならソク110番通報、まあそれしかないんじゃないか。

〈文=今井亮一〉※driver2019年11月号からの転載記事

【今井亮一の交通違反バカ一代】
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