現役バス運転士が語る「これはやめてほしい」一般車の迷惑運転5選

はじめまして。現役路線バス運転士マーヴェリックと申します。路線バスは、ひとたび動けばさまざまな危険な状況に置かれます。お客様は乗っていますし、車体も大きいわけですから、運転への気遣いは一般乗用車以上です。それに事故を起こせば、メディアに露出してしまいます。肩身の狭い思いをしながら、日々業務にあたっているのですね。でも人の移動がある限り、社会に必要な仕事なのは確かです。そんなバスの運行に、少しでもご理解を頂きたいと思い、記事を書きたいと思います。今回は、バス運転士が迷惑と感じる行為を5つ選定しました。

■「思ったよりも迷惑」バス停・バスベイに駐停車

「バス停」はご存知お客様を乗降させるところ。そして、バスへの乗降をより円滑に行えるよう設けられているのが「バスベイ」です。しかし、ここに駐停車する一般車がいます。バスベイは、運行時間の調整や、バスの後方に詰まった後続車を追い抜かせるために利用したりします。もし一般車がいると、それができません。その間どんどんと後続車が詰まり、バスが“邪魔者扱い”されてしまいます。ちなみにバス停(バスベイ含む)への駐停車は、道路交通法第44条第1項第5号で「禁止」(運行時間中に限る)されています。

■「事故が起きたら運転士が聴取されることも」停車中のバスの追い越し

バス停などに停車中のバスを追い越すことは問題ありません。しかし、危険な追い越しが見られます。出社や帰宅時間帯に多く、先を急ぐあまり危険を顧みません。追い越しの際、対向車と衝突しそうになって急ブレーキを踏んだり、避けられず事故になった事例もあります。先日、都内で停車中のバスを追い抜こうとしたバイクが、前方の横断歩道上の歩行者をひき逃げする事故がありました。この場合、例えバスが悪くなくても、バスの停車に問題がなかったかなど、警察から聴取されます。移動にはもっと余裕を持って、と思うのですが、忙しい現代、それは難しいのでしょうか。ちなみに道交法では、バスが発進の合図をしたら、その発進を妨げてはならないと規定されています(第31条の2)。

■「バス運転士が責任を負うことも」急な割り込み

バスは、一般乗用車に比べて加減速に時間がかかりますから、前走車との間隔が大きく空きます。そこにすかさず入り込む一般車がいます。やめてください。急制動の原因になります。バスは、危険を避けるための急制動でも、お客様を転ばせ怪我をされると車内事故となり、人身事故と同様に行政処分の対象となります。急制動の原因となった一般乗車追及はできるのですが、その場から逃げられれば、それが難しくなります。結局バス運転士が責任を負い、泣き寝入りすることが多いのです。

■「バイクは天敵!?」バイクのすり抜け

バスは車体が大きい分、死角も多くあります。渋滞時など、バスの横を縦横無尽にバイクがすり抜けるのですが、はっきり言って怖いです。次々に来るバイクの動きは予測がつきません。万が一バイクととぶつかれば人身事故は不可避で、自分の免許に影響が出てしまいます。特に左すり抜けはやめてください。バス停に安全に停車できません。バイクは機動性が高く大変便利ですが、その機動が暴走になっていないか、自分の運転を振り返ってみましょう。

■「それって誰のためにやってるの?」運転の様子を撮影、SNS等にアップ

「運転が乱暴」「客である自分の言うことを聞かない」などと運転士をスマホで撮影し、SNSにアップする利用者がいます。これは法律云々の前に道徳の問題ではないでしょうか。もしその撮影とSNSのアップにより、撮影対象者の名誉が毀損されるなどの問題が起こった場合、民事上の損害賠償を負う場合があります。肖像権やプライバシーの侵害ですね。それはさておき、自分の様子を勝手にアップされてうれしい人はいません。運転への集中も削ぐので、やめてください。安全にかかわります。ちなみに道路運送法第28条で、走行中の運転士にみだりに話しかけてはいけないと規定されています。

いかがでしたか? バスの運行は、運転士とお客様双方、そして社会からの信用と理解が均衡を保って成り立っていると思います。運転士が強くすぎてもいけませんし、かといってお客様が強すぎても、その均衡が崩れてしまうのかなと思います。迷惑行為を5つ挙げましたが、円滑な運行、そして安全に一番必要なことは、関わる全員の“優しさ”なのではないかなと思っています。

〈文=現役路線バス運転士マーヴェリック〉