マツダ「船積み体験」で見た!ギャングたちの仕事が意外に丁寧だった

2019年11月4日、マツダの大人気イベント「船積み体験」が開催された。この体験イベントは定期的に行われているが、今回は7月開催時に取材した模様をレポートする。〈編集部より〉

マツダは1996年から社会貢献活動の一環として、自動車専用船見学会を広島本社で行っている。対象は小学4年生から中学3年生の児童・生徒と、その保護者。小学生の子供がいる筆者としては、つねづね広島や近県の人たちを東京から羨んでいたが、ひょんなことから7月26日の第21回見学会を取材することになったのだ(仕事だからウチの子供は抜き)。

参加定員は午前の部・午後の部それぞれ40人(20組)の、計80人。ウェブサイトで行われた募集には過去最高となる656名(328組)の申し込みがあり、抽選で選ばれたラッキーな親子が本社ショールームに集合した。目指すは送迎バスで15分ほどの、広島港宇品外貿地区だ。宇品工場が隣接する埠頭のバースには、世界各国に向けて船積みを待つ海外仕様のマツダ車がズラ~リ!

その向こうにそびえる巨大船が、今回見学する商船三井の自動車専用船「アクアマリン エース」だ。全長約200mの船体は内部が12層のデッキに分かれ、最上階を除く11デッキがすべて自動車積載スペース。大型の立体駐車場をそのまま船にしたような構造だ。全長4.5m×全幅1.7mの乗用車で5218台を積載できる。近年はボディサイズの大型化に伴ってキャパシティが若干減少。今回の航海では計4600台あまりを積み込む予定だ。

参加者一行は車両と同じ船尾のランプウェイから乗船する。船内の移動はすべて徒歩。ガラ~ンと広大な積み込みデッキを歩き、ロフトのハシゴみたいな階段を登り、まず到着したのは一番高い屋上デッキだ。高さはビルの10階以上に相当する。潮風に吹かれながら見下ろすと、バースに並んだ無数のクルマがミニカーのように映る。

続いて1つ下の階に降り、船好きには憧れのブリッジ(操舵室)に。本船は2008年竣工だが、整然と配置された各計器類を見ると、クルマの世界と同じく素人目にもハイテク化が進んでいる印象だ。このほかにも乗組員のラウンジや船長室、食料庫、トレーニングジム室などを見学。質問などがあれば、船長をはじめとする航海士がわかりやすく何でも教えてくれる。

そして、いよいよ自動車の積み込み見学だ。ヘッドライトを点灯したCX-5が5~6台いっせいに上ってくる。荷役作業は業界用語で「ギャング」と呼ばれるチームで行われる。構成は監督者、ドライバー、固縛員、シグナルマン、降車したドライバーを陸に戻すビアンテやプレマシーなどのミニバン(これは通称「タクシー」と呼ばれる)の運転手など20人ほど。CX-5はいったん待機後、シグナルマンのピッ!という笛を合図に1台ずつササッと切り返し、今度はバックで所定の位置につけられる。ラッシングベルトで車両とデッキをしっかり固縛すれば作業完了だ。

安全性や作業性を確保しつつ限られた船内空間を有効活用するため、車両と車両の間隔は前後30㎝、左右10㎝ほど。日常ではありえないツメツメ状態だが、筆者は仕事がらカメラマンの指示で車両をこのように動かすことがあるため、間隔の狭さ自体には特に驚きはない。

さすが!と思ったのは、一連の荷役作業がじつに正確でスムーズなこと。ドライバーに急ぐ様子はまったくなく、運転は丁寧。でも、最後の位置決めまでわずかな修正もなく、一発でピタッと決まる。ムダな動きがひとつもない流れ作業で安全・確実、そして早い。シグナルマンと息の合った連携も見事。プロフェッショナルのチームプレーを目の当たりにすると、思わずうなってしまう。このあと参加者はデモ車でラッシングを体験して、自動車専用船の見学は終了。

アクアマリン エースは翌27日、山口県の中関に寄港して防府工場の生産分を積載。12日間の航海で北米を目指す。見学会はこの防府工場でも定期的に行われるから、近隣にお住まいの方は要チェック。また広島本社では、2016年から毎年開催の「マツダオープンデー」でも自動車専用船を見学できるチャンスがある。子供たちだけでなく、付き添いの大人も社会科見学の気分で童心に帰れる。そんな楽しいイベントだったのだ。やっぱり一度はウチの子供と見学したい!

〈文=戸田治宏 写真=編集部〉