【新型マツダ3のまさか part.1】高速域で車線維持支援しない理由

思っていたのとちょっと違う

2019年5月24日に発売を開始した新型Mazda3(マツダ3)。デザインやメカなどマツダが今持つ技術をすべて投入した、新世代商品群の第1弾だ。

https://driver-box.yaesu-net.co.jp/car/16954/

先進安全装備の充実もトピック。例えば運転支援の追従クルーズコントロール(ACC)ひとつとっても、マツダ上級機種同様に停止まで自動追従するようになった。さらに、マツダとして初めて渋滞時までのステアリング支援機能をプラス。白線などを認識して停止まで自動で車線維持し、運転時の疲労軽減に貢献してくれるという。高速道路のロングドライブが全域で楽ちんになりそう!

……だが、である。マツダのホームページ、マツダ3の安全装備のページを見ていると、どうも思っていたのとは違うらしいことがわかった。下の写真を確認してほしい。

●マツダホームページより抜粋。クルージング&トラフィック・サポート(CTS)の説明

上記写真内の説明で注目してほしいのは、「ステアリングアシスト機能」の部分。AT車は約55km/h未満、MT車は約30〜55km/h未満となっている。いずれも、ステアリングアシスト機能の上限は「約55km/h未満」に設定されているのだ。高速道路でいえば、いわゆるノロノロ運転、渋滞時のみにこの機能を使えるということ。
※MT車に関しては、クラッチ操作が必要なため低速域で追従できないのは旧アクセラ含むMT車同様

高速域でのステアリング支援は?

55km/h以上はどうなるのか。再度マツダのホームページを確認すると、

●マツダホームページより抜粋。レーンキープ・アシスト・システム(LAS)の説明

上記写真の説明で注目してほしいのは、約60km/h以上で走行中に車線の白線などを検知して、自車が車線から逸脱する可能性があるとシステムが判断した場合に、ステアリング操作をアシストするという点。すなわち高速域では車線維持、ではなく逸脱回避に留まっているのだ。ちなみにマツダ上級機種、アテンザやCX-5などは高速域でもステアリング支援を行うのはご存じのとおり。

●マツダホームページより抜粋。アテンザのレーンキープ・アシスト・システム(LAS)の説明。ステアリングアシストのタイミングを選択可能で、逸脱回避支援かライントレース(車線維持)か任意で設定できた。マツダ3以後のクルマは、LASの機能が車線維持ではなく逸脱警報のみになるのだろうか

強い信念からの決断

マツダは、車格によって安全運転機能に差を付けないクルマ造りを徹底している。現行機種でも、安全装備はどんどんアップデートするのがマツダ流だ。だが今回のマツダ3に関しては、最新モデルなのに機能だけみれば、渋滞時追従機能で一歩進み、高速域での車線維持不可で一歩下がってしまったように感じる。これは何かの間違いか、勘違いか。この点に関してマツダ側に確認すると、

「確かに新型マツダ3のステアリング支援は、約55km/h未満でのみ機能します。なぜ高速域では逸脱回避支援のみにしたかというと、マツダとして『安全もドライバーが主役』という考え方からです。特に新型マツダ3では、すべてを一新したおかげで走りが劇的に進化しています。その走りを存分に味わっていただきたい。ですので、ファン・トゥ・ドライブを感じにくい渋滞時のみ車線維持機能を設定しました」

ただ、現行の上級機種のように任意に設定できるようにすればいいのでは?と思ってしまうが……。

「確かに、社内でもさまざまな議論がありました。ですが、新型マツダ3の走りには開発陣一同、自信があります。ぜひご自身の運転で、マツダ3の走りを楽しんでいただきたいという強い思いがあります」

どうやら、機能としてできないからではなく、強い信念、自信からの決断のようである。「なぜそんなことを?」と疑問を持たれることは重々承知なのかもしれない。それぐらいマツダは、「主役はドライバー」という思想を貫き、走る楽しさをユーザーに届けたい。そのために愚直に走りを進化させた結果、「約60km/h以上は逸脱防止のみ」という決断に至ったのだった。

●マツダ3のファストバックには、リヤゲート部にドアの施錠ができるスイッチが新たに装備された。このスイッチの「まさか」については近日中にお伝えする

〈文=編集部〉