連載「密着!TCRジャパン」第5回 シリーズ参戦マシンのなかで唯一のセダンボディ、アウディRS3 LMS SEQ

 

 

2019年から日本でも始まったTCRのレポート連載「密着!TCRジャパン」。第5回目はジャパンシリーズ唯一のセダンボディ、アウディRS3 LMS SEQです。

アウディのTCRマシンってこんなクルマです。

●Hitotsuyama Racingのアウディのカラーリングは、まるで左右別のクルマのよう

 

正式名称はAUDI RS3 LMS SEQ。アウディはVWグループの一員ですから、VW ゴルフ GTIのTCR車両との共通部分も多く見られます。ホイールベースも同じ2660mmですが全長はアウディのほうが44mmも長く、また4ドアセダンゆえにVW ゴルフをはじめとする5ドアハッチバックとの空力特性は大きく違うようで、富士スピードウェイのような長いストレートではその効果は抜群だとか。

そして、最大トルクの発生回転数が2500rpmとほかのライバルよりも低く(VW ゴルフ GTIは同じく2500rpm)、460Nmの最大トルクはジャパンシリーズに参戦しているどのマシンより強力なものです(VW ゴルフ GTIは420Nm)。

●2500rpmで最大トルクを発生するエンジン

 

TCRジャパンの公式サイトに記載されているスペックは、以下のとおりです。

排気量   :1984cc
最大出力  :340hp/6200rpm
最大トルク :460nm/2500rpm
ギアボックス:パドルシフト付き6速シーケンシャルミッション
最低重量  :1265kg(ドライバー込み)
BOP:エンジンパフォーマンスレベル100%、バラスト -10kg、地上高70mm

ちなみにTCRジャパンの公式サイトには記載がありませんが、じつはVW ゴルフ GTI同様DSGモデルも存在します。価格はSEQモデルの価格が12万9000ユーロ、DSGモデルだと10万9000ユーロとTCRマシンにおいてもVW ゴルフ GTIと較べ高価です。

●空気の吹き出し口まで備えた非常に美しい仕上がりのダッシュボード
●ロールバーが通る部分をくぼませた造形のドアの内張。
●インテリア。写真手前のビニールに包んであるのがWTCR参戦時のみ装着されるADR(安全解析装置)
●トランクリッド。貫通したリヤスポイラーがこのように固定されている

今回マシンを解説してくれたのは、FIA-F4をはじめフォーミュラ経験が豊富でツーリングカーレース、いわゆる「ハコ」でのシリーズ参戦は初めてという、篠原拓朗選手(No.21 Hitotsuyama Racing)。レースキャリアの大半がフォーミュラという篠原選手ですが、AUDI RS3 LMSはリヤの挙動もマイルドでとても乗りやすいTCRマシンだと言います。また低速トルクの厚さはもちろん、高速域での伸びのよさも大きな特徴で、その点こそがセダンボディを持つアウディの優れた空力特性によるアドバンテージのようです。

●マシンを解説してくれた篠原拓朗選手

なお、鈴鹿サーキットで開催されたTCRジャパンシリーズ第5戦は、世界選手権「WTCR」と併催だったためにHitotsuyama RacingはWTCR参戦を優先し第5戦を欠場。これにともない、ここまでサタデーシリーズのポイントリーダーだった篠原選手のチャンピオン獲得とはなりませんでしたが、シリーズ2位の成績はシーズンを通じてAUDI RS3 LMSのポテンシャルを十分に証明したと言えるでしょう。

 

●鈴鹿で開催されたWTCRでは富田竜一郎選手がドライブした。国内シリーズに参戦しているマシンで、世界戦にも挑戦できるのは世界統一フォーマットのTCRマシンならでは

今シーズン参戦したアウディRS3 LMSは参加マシンのなかで最多の6台。

●No.7 NILZZ Racing(ドライバー:牧野 淳/ジェントルマンクラス)
●No.21 Hitotsuyama Racing(ドライバー:篠原拓朗)
●No.23 PURPLE Racing(ドライバー:YOSHIKI/ジェントルマンクラス)
●No.24 PURPLE Racing(ドライバー:KENJI/ジェントルマンクラス)
●No.101 Hitotsuyama Racing(ドライバー:中原英貴/ジェントルマンクラス)

 

●No.190 BRP⭐︎RN Sport Audi Mie RS3 LMS(ドライバー:上田正幸/ジェントルマンクラス)

 

<文&写真=高橋 学 text & photo by Manabu Takahashi>