新型フィットのAピラー、こんなに細くて衝突時は大丈夫? 

驚きの細さである。新型車登場時によく聞く「Aピラーを細くしました!」というレベルとは違う、劇的な極細化。

フィットが歴代継承するワンモーションフォルムの長所は、空力に優れるスタイルと室内の広々感を演出できること。これに、ホンダならではのセンタータンクレイアウトが合わさり、コンパクトボディながら驚くほどの室内スペースと多彩なシートアレンジで大人気車種に上り詰めたわけである。

ただ、ワンモーションフォルムを実現するためにAピラーを前方に出すと、いくら三角窓を付けても斜め前方の死角が増える。右左折時に、ちょっと前に乗り出して歩行者などを確認・・・という作業が必要になっていた。そこで、いっそう厳しくなる衝突安全基準をクリアしつつ、歴代フィットはAピラーによる死角改善に取り組んできたわけ。

そして4代目となる新型フィット。もう圧倒的にAピラーが細くなっている。最初に見たとき、「これで衝突したらヤバイよね!?」と思うぐらいのスリム化だ。

●現行車でも、Aピラーはずいぶん細く見えるが、これはデザイン上の処理。運転席に座ると、Aピラーは結構存在感がある

なぜこんなに細くできたかといえば、衝撃吸収の経路を抜本的に変えたから。下の写真を見てほしいが、赤く色づけされた部分が衝突用の強化部材。フロントからの衝撃はここを起点にボディ全体で吸収する。その上に、本棚の骨組みかと思うぐらい細い部材、それがAピラー。衝撃吸収の経路を変えたので、このAピラーはフロントガラスを保持するだけの剛性で済み、視界を遮りにくい極細Aピラーが実現した。本来、衝撃吸収を担うAピラーをキャビン側手前に移動・配置、さらにデザイン上のAピラーはワンモーションフォルムのために残したのだ。本来の三角窓の作り方を、逆転させたとも言えるかも。

運転席に座ると、その極細Aピラーの効果にビックリ。新型と現行車を乗り比べると、現行車の視界が極端に狭くなったように感じるほど新型はパノラマビューなのだ。

●室内からAピラーの太さに注目すると、その差は歴然(写真上が新型、下が現行車)

以上はホンダのテストコースで開発陣に聞いた話。2020年2月の発売以降、いざ公道に繰り出せば、「前に身を乗り出して確認・・・」なんて作業はなく、さらに自然にドライブできるはず。2モーターHVに注目が集まる新型フィットだが、「心地よさ」をもっとも体験させてくれるのはこの圧倒的な視界改善なのではないかと思っている。

●この細さなら、交差点の右左折時にも邪魔になることはないだろう

〈文=編集部〉