【実体験レポート】20型プリウスはメンテナンスフリーすぎる

筆者の愛車は、2003年9月に発売されたプリウス2世代目となる20型のGグレード。登録は同年11月だから、すでに16年が経過したことになる。改めて長く乗ったと実感するとともにトヨタのハイブリッド車のメンテナンスフリーぶりに感心する。

20型は、現在のトヨタハイブリッドにつながる「新世代トヨタハイブリッドシステムTHSⅡ」として登場した。当時、世界最高レベルの燃費35.5km/L(10・15モード。懐かしい!)で注目を集め、ハイブリッドカーを日本市場に定着させたモデルでもある。初代(10型)は動力性能的に劣っていたため不満点も多かったが、20型は動力性能を改善。またたく間に人気車となった。

●主要コンポーネントは、すべて自社開発。パワーコントロールユニット、モーター、発電機、バッテリーなどを一新し、システムのさらなる進化を図った

トヨタはハイブリッドの将来にかけていた。新技術を詰め込んだ20型はコストが高く、利益を生むどころか赤字だったという。ようやく黒字販売に転換できるようになったのは、小改良を行ったごろからだったというから、トヨタのハイブリッドにかける思いは相当なものだったわけだ。

●空力性能に優れたボディ(Cd値=0.26)に、ゆとりの空間を確保

16年間乗ってきて思うのは、ハイブリッドはメンテナンスコストが純ガソリン車や純ディーゼル車より安いということだ。その一例がフロントブレーキパッドの交換サイクルだ。ハイブリッドは通常の減速Gならば回生ブレーキによって減速できるため、通常の機械式ブレーキをほとんど使わない。20型の協調回生ブレーキのプログラムは減速時7km/hまで回生を行い、機械式はそれまで使わない。それ以下でようやく機械式ブレーキが作動する。急な減速を行わない限り機械式ブレーキは、止まる寸前で作動するのみだ。この停止寸前のブレーキ領域は、ドライブフィールに大きな影響を与えるが、世代が新しくなるほどブレーキが作動する速度は遅くなっている。20型からの協調回生ブレーキで回生効率がよりよくなったのと同時に、機械式ブレーキの負担は大幅に減少した。

●シフトポジションを電気的に切り替えるシステムを採用。TVゲームのコントローラーに付いているジョイスティックのように指先で軽くレバーを動かすだけの新感覚の操作性を実現。また、プリウスにふさわしい斬新なインテリアデザインの構成にも一役買っていた

その結果、愛車は19年8月に17万7120km走行した時点で初めてフロントディスクブレーキのパッドのみを交換。リヤのドラムブレーキのシューは無交換だ。20型はブレーキパッドの摩耗警告用のプレートや警告灯がないため、タイヤ交換時にパッドの厚みをチェックしていたが、なかなか減らなかった。クローズドコースを走ることもあったから普通に使われているプリウスより過酷な条件だったはずだが、それでも18万km近く持った。外したパッドを見るとディスクのイン側パッドの摩擦材の厚みは約5mm、アウト側は約2mm残っていたが、耐フェード性を考えるとこれが限界だったことがわかる。通常の使用環境で高速道路を走る割合の多い方なら、余裕で20万kmを突破することができただろう。

パッドは自動車パーツ量販店で交換したため汎用品だが、ブレーキのタッチは良好だ。パーツと交換費用込みで1万数千円と安価だった。じつはブレーキパッドだけでなく、ほかのパーツも交換サイクルが長い。ハイブリッドはエンジンを停止させる時間が多いため、通常のエンジンより作動時間が短く、エンジンの吸気用エレメント(フィルター)が汚れにくい。新車時はメーカー推奨の6万kmで1回替えたがあまりに汚れていないため、それ以降は定期的に汚れ具合を見ているが、18万7000kmを走った現在でも交換する必要はなさそうだ。

●横長のメーターを視線移動の少ない位置に

さらに驚くのはエンジンまわりのゴムや樹脂製パーツが劣化しにくいこと。20型のエンジン冷却水のポンプは、従来のエンジンベルトで駆動する機械式(30型以降は電動)だが、駆動ベルトもポンプも交換していない。冷却水のホース類も同様で手で触っても柔軟性が保たれたままで、細かい亀裂などがない。これはエンジンルームの温度が高温にならないため、通常のエンジンと比べると劣化が進まないのではないかと考えられる。特にターボ車は高温になるためゴムの劣化が早い。愛車でキャンピングトレーラーをトーイングすることもあるため、通常のプリウスより相当過酷な走行条件もあるが、夏場にエンジンフードを開けてみてもそれほど高温にはなっていない。

その代わりといってはなんだが、インバーターなどを冷却する、20型の持病ともいえるハイブリッド系の電動ポンプはリコールで新車時に1度交換。そのポンプは対策品だったが17万5000kmを過ぎてご臨終。このポンプはイグニッションオンで常時作動するため故障が多い。ちなみに30型からは水温に対応して作動する制御に変更された。電動ポンプはアッシー交換となり、当然クーラントも交換となるためパーツと作業工賃の合計で3万7000円の出費となった。とはいえ18万7000km走って大きな故障はこれだけだから、かなり優秀だといっていい。

●今では採用車種の増えてきた自動駐車システムも採用していた

ハイブリッドカーを所有したことがないユーザーが気になるのは、駆動用バッテリーの寿命だろう。幸い愛車は現在でも駆動用バッテリーの交換の必要はなく、劣化もそれほど感じられない。10万kmを過ぎたあたりで、同じ道、同じ条件で走行しても回生による充電がちょっと悪くなったように感じられる程度だ。ディスプレイに表示されるバッテリー容量のセグメント表示が、それまでは回生で1つ増えるはずが、最近は増加しなくなった程度。走行フィールはほとんど変わらない。

燃費に関しては、燃費指向のブリヂストンエコピアEP100や同プレイズPC-Xを装着しているころは22〜23km/Lをコンスタントに記録していたが、オールシーズンタイヤを装着してからは20〜21km/L程度に落ちた。これはやはり転がり抵抗の増加が大きい。回生をさせないようにドライブしたときの減速感はオールシーズンタイヤがのほうが明らかに大きく感じる。省燃費タイヤに交換すれば、今でも一般道で23km/h台をマークできるはずだ。

ハイブリッドカーは、燃費のコストを低くするだけでなく、メンテナンスコストも低減できることをこれで証明できた。タクシーに使われている20型の走行距離は、20万や25万kmは当たり前だから、愛車も20万km超えを目指す予定だ。

〈文=丸山 誠〉