予測できない動きの小さな飛行体を追え!「三好秀昌のニッポン探訪・取材ウラ話 第3回〜コミミズク〜」

ドライバー3月号(2020年1月20日発売号)からスタートした新連載「(じつは)動物カメラマン 三好秀昌の『ニッポン探訪』」。日本全国を最新SUVで駆け回り、かわいい動物や最高の絶景を撮影してしまおう!という企画です。第3回は、餌を求めて葦原(あしはら)を自由に飛ぶ『コミミズク』。撮影テクニックやクルマのインプレッション、その地域のグルメやお土産情報など、取材ウラ話をいろいろと紹介します

「コミミズク」について

フクロウ類は夜行性だから飛んでいるところを撮るのは難しい。たまにカラスなどにちょっかいを出され、イヤイヤながら昼間に飛ぶことはあるようだが、よほど運がよくないとそんな場面には出会わない。

しかし、コミミズクという小型のフクロウは明るいうちから餌を求めて飛び始める。気が早い個体だと14時過ぎぐらいから飛ぶのもいる。だから昼間飛ぶフクロウが撮影できるのである。それだけに人気があり、有名な営巣地には100人を超えるファンが詰めかけて大騒ぎになることもしばしば。

オイラが撮影に行った渡良瀬遊水地には毎年、数羽のコミミズクがやってくる。渡ってくると地元の新聞でも紹介されるぐらいの場所だが、フィールドが広いので50人やそこら集まってもそれほど混雑した感じがないのがいい。

撮影していて思ったことは、やはり夜行性の鳥なので、晴天で飛ぶ写真を見ると黒目(瞳孔)が小さくなって、いわゆる目が点になる状態、びっくりしたような顔つきになっている。これではあまりかわいくない! しかし、太陽が陰る曇りだと比較的黒目は大きい状態になる。

●晴れ
●曇り

写真のきれいさでは晴れがいいが、コミミズクの表情は曇りがいい、というなかなか難しい条件選択である。暗くなればなるほどかわいらしくなるが、撮影条件は厳しくなるのだ。

本誌でも書いたが飛翔時はブレなく飛ぶので、露出を切り詰め、シャッタースピードを下げることも可能なので、暗いときに黒目が大きい表情で撮れたほうがオイラ的には好みだ。


「撮影裏話&テクニック」

400mm望遠レンズ+テレコンバーターのワケ

なかなか近くを飛んでくれないコミミズクを撮影するのに400mmレンズを選択し、1.4倍のテレコンバーターをわざわざかましていたのには理由がある。

コミミズク撮影と同時にチュウヒという鷹の塒(ねぐら)入りを狙っていたのだ。チュウヒは日の出とともに葦原の塒を飛び出し、日の入りのころに帰ってくる。このとき、葦原の上を旋回しながら何羽かが舞いながら降りてくるのだ。

これを撮りたいと思ったが、日没のころは当然暗い。そこで400mmの望遠ながらf2.8の明るさを持つこのレンズをチョイスした。だから昼間のコミミズク撮影ではテレコンで焦点距離をカバーしたのである。AFスピードや精度を懸念していたが、テレコンを付けてもコントラストの低い葦原のコミミズクをしっかりと補足し続けてくれた性能はすばらしかった。

そして、f2.8という明るさの望遠レンズは日没10分後の鷹の舞を捉えてくれた。もう肉眼でもやっと見えるという世界をAFで補足するというスゴさ。

暗くなって次から次に計30羽近くやってくる! 本当は3〜4羽、まとめて舞ってるところを撮りたかったが、世のなかそうはうまくいかない。ちなみに、翌日は1羽しか見かけなかったから、これでも運がいいほうだった。

これが野性や自然相手の現実。同じ景色をもう一度、はないんだよね~。

[撮影データ]
機材:ソニー α9
レンズ:FE400mm F2.8 GM OSS
撮影モード:マニュアル
シャッタースピード:1/500
絞り:f2.8
ISO:AUTO(12800)
露出補正:−1.0


「鳥に詳しくなる本」

オイラはまったく鳥には詳しくない。フクロウ、ワシタカといった猛禽(もうきん)類とカワセミ類を撮るだけで、それ以外の鳥は、いれば撮るぐらいのスタンスなのだ。だが、友人に超絶鳥に詳しく何冊も野鳥に関する本を出版している鳥クン(本名:永井真人)がいる。

彼の野鳥識別図鑑はバーダーにとって鉄板の一冊! 事細かに野鳥の違いを写真で紹介している。

ちなみに、彼とは鳥取の山の中でオオコノハズク(小型のフクロウ)を撮影しているときに知り合った。フクロウつながりなのである。

http://www.nagaimasato.com/

もともとロックミュージシャンなので見た目も普通のバーダーとは一線を画しているが、野鳥の知識はピカイチである。今はちょうどオイラがアフリカで写したこの鳥のような髪の色をしている。


「今回のSUV……VOLVO XC60」

至れり尽くせりの仕様

XC60のグレードはインスクリプション。もう至れり尽くせりの仕様でご機嫌だった。氷点下の撮影ではイグニッションオンでステアリングとシートのヒーターは入るし、移動で疲れてくればシート内臓のマッサージ機能でリラックス。

ディーゼルエンジンだからガソリン車並みの静粛性とはいかないが、慣れれば気にならないし、軽油は安いうえに燃費もいい。何も気にせず走って約14km/L(高速道路の走行の割合は4割ぐらいか?)なので、このサイズのSUVなら十分に満足できる数値だ。

ディーゼルターボはパワフルでトルクがあるからスピードのノリがよく、乗っていて気持ちがいい。砂利道みたいな不整地の乗り心地がよかったのは予想外だった。大きなギャップがあるわけじゃないから、サスペンションのモードはオフロードに切り替えずコンフォートのままで十分走れる。なんかいいことずくめで本当にいいクルマだった。

ただ1900mmという車幅だけは、枯葉が生い茂る山道では擦り傷が付かないようにだいぶ気を使った。これだけはどうすることもできないからね!

ボルボ・カー・ジャパン
https://www.volvocars.com/jp


■主要諸元
ボルボ XC60 D4 AWD インスクリプション
(8速AT/4WD)
全長×全幅×全高:4690mm×1900mm×1660mm
ホイールベース:2865mm
最低地上高:215mm
車両重量:1880kg
エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
総排気量:1968cc
最高出力:140kW(190ps)/4250rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/1750〜2500rpm
燃料/タンク容量:軽油/60L
JC08モード燃費:16.1km/L
タイヤサイズ:235/55R19


「地元グルメ」
栃木うなぎ料理専門店「せしも」

以前、渡良瀬遊水地で撮影をしていて、昼飯時に店を探した。すると、こんなところに?という場所でポツンとうなぎ屋を発見! そのときは予約をしてなかったから食べられなかったのだが、すごく気になる店になった。なんたって、半径数km、店などなさそうなところに存在するのだ。

そして1年前、ついにうなぎを食べた。うまい! 身が柔らかくてタレが上品で絶妙な味だ。

稚あゆの佃煮を帰りに買った。これまた辛くもなく上品な味で、ご飯が進む。

総業400年を超える店なのだが、もともとは川魚の漁師だったそうだ。

「『横の川に行けば魚がいくらでもいて、しかもタダだから驚くほどもうかった』と曾爺さんが言ってた。今はもうだめだけど(笑)」とここの店主、瀬下さんが言う。そして、なんと瀬下さんは大のクルマ好き! ドライバー誌の愛読者なのだ。感謝!

ちなみに、コミミズクにはまったく興味なし(笑)。クルマの話で盛り上がった。うなぎも佃煮もオススメです。

栃木うなぎ料理専門店
せしも

〒329-0316  栃木県栃木市藤岡町石川315-2
TEL:0282-67-2551(完全予約制)
営業時間:12:00~14:00(ラストオーダー13:30)/ 17:00~20:00(ラストオーダー18:00)
※物販営業は9:00~18:00 
定休日:月曜午後、火曜
https://www.unagi-seshimo.jp/


「渡良瀬遊水地」

栃木、群馬、埼玉、茨城の4県にまたがる面積や貯水容量が日本最大の遊水地で、広大な葦原があり、数多くの動植物が生息している。

オイラの個人的な感想だが、場所によってはケニアのマサイマラの景色とも似ていて、クルマを止めてボーッと外を眺めていると、どこからともなくライオンやヒョウが出てくる白日夢を見そうでお気に入りの場所である。

毎年、3月後半にはヨシ焼きが行われる。これもすごい迫力で、例えれば地獄のごとき炎で、被写体としてはすばらしい(今年に関しては新型コロナウイルスの影響で見学の自粛要請が出ていて残念)。

https://watarase.or.jp/

〈文と写真〉
三好秀昌 Hideaki Miyoshi
●東京都生まれ、日本大学芸術学部写真学科卒業。八重洲出版のカメラマンだったが、ラリーで頭角を現し、そのうち試乗記なども執筆することに。1995年、96年にはサファリラリー グループNで2年連続優勝。そのほか、国内外で数多くのラリーに参戦。写真家としては、ケニアでの豹の撮影など、動物をおもな題材として