最難関の被写体をレンズに収めろ!「三好秀昌のニッポン探訪・取材ウラ話 第5回〜オオタカ〜」

ドライバー3月号(2020年1月20日発売号)からスタートした新連載「(じつは)動物カメラマン 三好秀昌の『ニッポン探訪』」。日本全国を最新SUVで駆けまわり、かわいい動物や最高の絶景を撮影してしまおう!という企画です。第5回は、東京でも何カ所も見られる場所がある準絶滅危惧種の『オオタカ』。撮影テクニックやクルマのインプレッション、その地域のグルメやお土産情報など、取材ウラ話をいろいろと紹介します

オオタカ撮影

東京にもワシやタカといった猛禽(もうきん)はたくさんいる。最近実感するのは、興味を持って気にしていれば、猛禽類はどんどん見えてくるらしい(笑)。

それこそ明治神宮にもオオタカは住んでいるし、数は年々増えてる。どこまで本当かわからないが、そのせいで小鳥が食われて減っている、なんて話をする人さえいるのだ。さすがに片っ端から食われてしまうこともないだろう。

というわけでオオタカである。絶滅危惧種から“準”絶滅危惧種に変更になったことからもわかるように、もう幻の鷹ではない。人間社会に近い公園に巣を作り、共存するほうがカラスから身を守れると思ってるのか、とさえ感じてしまう。

鳥というのは頭がいいのだ。以前、アフリカのマサイマラでゾウを撮影していた。するとゾウの周りにたくさんのサギが飛び交う。しばらく見ていて理解した。

ゾウが地面の草を引っこ抜いて食べると、草の周りにいた虫たちが驚いて飛び上がる。サギはそれを狙っていた。彼らの知恵を見聞きすると興味深くおもしろい。

オオタカはかなりの確率で食事の後、水を飲みに水場に降りてくる。また暑い日だとそのまま水浴びをする。そしてずぶ濡れのまま飛び上がり、木の上に戻って翼を広げて甲羅干し!!

周りに人がたくさんいてもおかまいなしに無防備な姿をさらす。何とものんびりした姿だ。

何となく行動がわかると先回りしてカメラポジションを決められるので、いいアングルで撮影できることが多い。相手は野生動物なので先回りして大きく外すこともあるが、確率的に6~7割は当たれば十分だ。

今回の本誌のメイン写真はメスが一番端の木の目立つところで鳴き始めたので、オスが飛んでくるだろうと考えて三脚を立てて狙っていた。

するとドンピシャ! オスが飛んできていきなり交尾を始めた。

飛んでくるスピードに合わせてシャッタースピードを1/1600にして、絞りもf14に上げていた。当然ISOも1600と高めになっていた。交尾を連写中に思いのほか動きが少ないので、ISOを下げるためにシャッタースピードを1/250に下げた。ISOも250まで下がり、画像のノイズも減る。2羽の顔はやや前後した位置にあるので、できるだけ両方にピンが来るように絞りはf14のままだ。

そして、オスが飛び出すだろうからそろそろまたシャッタースピードを上げようかな、と思っていたときにいきなりオスが飛び去ってしまった。今までは交尾後にはしばらくメスの横にいてから飛び出すのだが、今回は予測が外れた。

しかし怪我の功名というか、低いシャッタースピードで撮った飛び出しは翼がいい感じにブレた写真になった。

FE200-600mmレンズのテレ端600mmに1.4倍のテレコンバーターを装着して換算840mmでの撮影だ。

端の木の上にいるオオタカは絶好のロケーションだ。できるだけ近づきたいが、近づくと手前に木の枝がせり上がりオオタカの胸元まで隠れてしまう。だからあえて離れて距離を取り、その分、大きさをテレコンで補った。

解像度とシャープさ、オートフォーカスの精度とギリギリのところの組み合わせだが、運がいいことに空気がまだ冷たい朝の撮影だったこともあり揺らぎもなく、きれいな写真に仕上がった。オートフォーカスも十分追従してくれている。

さて、本誌のメイン写真はガッツリとトリミングして掲載してある。なんか最近ノートリこそが偉いみたいなことをいう人がいる。写真を撮り始めて、最初からトリミングありきの撮影ではテクニックも身に付かないが、不確定要素だらけの動く物相手でノートリにこだわってもしようがない。写真撮影を銀塩写真からやっていて、白黒プリントを経験している人ほどそんなこだわりはないようだ。プリントするときにどうしても多少のトリミングが入るからね。

このトリミング作業こそ撮る人のセンスだと思う。ネットでも“ノートリ”にこだわって被写体が小さく写った同じような写真を何枚もアップしている人は、自分でどれが一番いい写真か選べないのかもしれない。また、こだわるわりに受光部のゴミかなんかがしっかりと写っていて、そこにはこだわらないという(笑)。

オイラが写真の授業で習ったことで今でもよく覚えているのが、「ゴミや傷がある写真を人に見せるなんて失礼な行為だ」というМ教授の言葉だ。人に見てもらうための礼儀なのである。

話はずれたが、トリミングして自分の意図を作品として人に見てもらうことこそが大事だと思う。

そして、見てくれた人それぞれがストーリーを感じてくれればいい。

メイン写真で飛び去っていくオオタカのオスを見るメスの視線。

「行ってしまうの~?」と哀愁を帯びていると思うか、「早くエサを持ってきなさいよ」と主張しているのか、はたまた別の感情を感じ取るかは見てくれた人の自由だ。ただその視線に気づいてもらうためにトリミングは有効なのである。


「撮影裏話&テクニック」

軽くてコンパクトなレンズで飛翔の瞬間を狙う

猛禽類はなかなか近づけないから、必然的に超望遠レンズの登場となる。そして、時として今回のようにテレコンバーターを併用する。ただ相手の動きに合わせて移動しながら撮るのなら手持ちでの撮影がベスト。

長い時間だと無理だがαと200-600mmレンズの組み合わせは手持ちでの撮影を可能にしてくれる。手振れ補正の効きもよく引くシャッタースピードでも連写しておけば、微妙なブレの写真の中にうまい具合に止まってくれる1枚があることが多い。昔の人はうまいこと言ったね。「数打ちゃ当たる」って(笑)。

とはいえ、オオタカが飛び出して飛翔していくのを追うのは至難の業。まして600mmで追うのはハンパではない。そういう使い方ではFE 100-400mm F4.5-5.6 GMが軽くてコンパクトな分、振りまわしやすくレンズの焦点距離的にも使いやすいことがある。飛翔を狙うときはこのレンズで300-400mmぐらいの焦点距離に合わせて待つことも多い。オオタカをファインダーで捉えてこそシャッターを切れるんだから欲張っても意味がない。

下の写真は400mmで撮影。飛び出しだからスピードが遅いと思っていたが羽ばたくスピードは速いようで、1/1500のシャッタースピードでも羽先がブレている。薄暗かったのでISOはずいぶん上がってしまった。

[撮影データ]
機材:ソニー α9
レンズ:FE100-400mm F4.5-5.6 GM 400mmで撮影
撮影モード:マニュアル 
シャッタースピード:1/1500
絞り:f8.0
ISO:6400
露出補正:0


「今回のSUV……マツダ CX-30」

オイラ的な欲しいモノが満載

マツダCX-30の何がいいかって? ほぼ欲しいモノ満載のスペックで大きくないところだ。

絶対的な速さはないけど、オイラもジーさんになったせいか、あまり“速さ”はいらない。しかしある意味、ハンドリングがいいからワインディングもストレスなく速いんだけどね。コーナーの速さはジーさんでも好み(笑)。

クルマは豪華になるとサイズまで大きくなって、ちょっと取りまわしに困ることになるが、1795mmという幅はいい!

最初に書いたオイラ的な欲しいモノ満載っていうのは、燃費がよくて低速トルクが充実したディーゼルエンジン、雪のなかで困らない4WD、移動が楽ちんなアダプティブクルーズコントロール、快適なシート&ステアリングヒーター、そして林道で困らない小ぶりなサイズなどなど、野生動物の撮影に出かけるにはぴったりなのである。

このサイズと、都会のノロノロ運転でもディーゼルエンジンはアクセル開度が少なくて済むので、知らず知らずに疲労が軽減しているのも新発見。
扱いやすいSUVなのだ。

■主要諸元
マツダ CX-30
XD Lパッケージ(6速AT/4WD)
全長×全幅×全高:4395mm×1795mm×1540mm
ホイールベース:2655mm
最低地上高:175mm
車両重量:1530kg
エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
総排気量:1756cc
最高出力:85kW(116ps)/4000rpm
最大トルク:270Nm(27.5kgm)/1600~2600rpm
燃料/タンク容量:軽油/48L
WLTCモード燃費:18.4km/L
タイヤサイズ:215/55R18
価格:330万5500円


「地元グルメ」

東京の食べ物と言えば“そば”である。あえて神田あたりではなく適度に自然があって、空を見上げればたまにオオタカなんぞが通りすぎるあたりでそばが有名な深大寺界隈。鬼太郎茶屋でも有名な深大寺の周りにはたくさんのそば屋が点在する。

しかしその内容は千差万別。とにかく店が多いだけに、当たりはずれもある。超有名店で味はいいけどサービスがいまいちだったり(悲)、これって冷凍のそば? いや、まだそっちのほうがうまいぞ!というものすごい店もある(驚)。長さ数cmの切れ端の屑そばまで混ぜて出しちゃう店もある(怒)。

その半面、こんな場所に店が?というのがなかなかおいしくてびっくりしたり(喜)、高いからおいしくて当たり前の十割そばのなかでも味に違いがあったりと、食べ歩いていくと発見があっておもしろい。

オイラもだいぶ食べ歩き、すでにお気に入りの店はあるのだが、まだ入っていない店に冒険を兼ねて飛び込むことがある。今まで入らなかったのは何となく嫌な予感があるからなんだけど(笑)、ほんのたまに当たりが出るからおもしろい!!
深大寺そばは奥が深いのである。

〈文と写真〉
三好秀昌 Hideaki Miyoshi
●東京都生まれ、日本大学芸術学部写真学科卒業。八重洲出版のカメラマンだったが、ラリーで頭角を現し、そのうち試乗記なども執筆することに。1995年、96年にはサファリラリー グループNで2年連続優勝。そのほか、国内外で数多くのラリーに参戦。写真家としては、ケニアでの豹の撮影など、動物をおもな題材としている